私は電機メーカーを退職した後に,相当転職活動で苦労した後に,
運良くO大学の任期付きの臨床研究支援職に就きました.
それがきっかけとなり,医療と情報の融合領域の存在を知り,かつその需要が大きいことが分かりました.
臨床研究支援職というのは女性社会であり,変わり種として定年退職した男性の方もいるという職場でした.
皆さんバリバリ働いているというよりは,主婦などの方も多く仕事優先という雰囲気ではなかったので,それまで社畜として猛烈に働いていた私には新鮮に映りました.
とはいえ,任期付き職員はいつ首を切られるか分かりませんし,博士号を持っていると給料が上がるというしくみでした.
それまで博士号取得は頭の片隅にありましたが,このような環境が博士後期課程を受験してみたいと思う気持ちに拍車をかけました
私が関心を持っていたのは,医学,薬学,情報学の学際領域でした.
また,大学に勤務しながら大学院に通う予定だったので,O大学のゲノム系の研究室を訪問しました.
教授にお話を伺うと,ゲノムの研究は奥が深いらしくバックグラウンドの知識がない私の場合,修士課程から学ぶ必要があるため,「博士号取得までには5年かかる」と教授の先生に言われました.
私はすでに修士号を持っているので,それは効率が悪いなと思いました.
その後,O大学で他の研究室を探しましたが,あまり興味を持てるようなところが見つかりませんでした.
O大学も世間的には一流大学ですが,医工連携はあまり進んでいなかったためだと思います.
そこで,K大学の研究室も調べてみたところ,比較的自由な研究テーマができそうな研究室が見つかりました.
その研究室は医療と情報,臨床研究を組み合わせたような研究テーマが多いため興味が湧き,一度問い合わせてみました.
とんとん拍子で話が進み,「受験してもいいよ」ということになりました.
大学院重点化が行われて久しいですが,博士後期課程の受験者数は少ないため,よほど競争率の高い研究室を除いては受験で不合格になることは少ないです.
むしろ,博士後期課程というのはアメリカの大学と少し似ていて,入るのは簡単だが出るのが難しいという感じです.
私の所属する研究室では現在の教授の下で,修行年限である3年で博士号を取得できた人はいません.(留学生では何人か存在します)
主な理由は,途中で退学してしまう方が多いためです.
博士課程というのは,メンタルが揺らぎやすいためです.
ひとつは,3年という期間です.これが非常に微妙で,3年もあれば人間の考え方や進路に対する方向性が変わる可能性が結構あるためです.
もうひとつは,修士課程の学生とは異なり就職が決まっているわけでもないですし,就職活動も自由にできてしまいます.そのため,進路に対する方向性が揺らぎはじめたときに就職活動をして,別の道を歩むというのが「あるある」です.
私の場合は,紆余曲折ありましたが今年度に博士号を取得することができそうです.
私の研究室では博士論文の執筆規定が決まっているので英語で執筆していますが,ほとんどの大学は日本語で書いても問題ないと思います.
次回からは,大学院の博士後期課程受験の体験記について書いていきます.
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