皆さん,生物統計学というのは知っているでしょうか?
たまに聞くけど,よくわからないといった方もいると思います.
生物統計学を学び,それを専門としている人が生物統計家です.
カテゴリ的には,データサイエンティストに分類されます.
また,かなり需要が高く,安定している職種です.
現存する職業の中で,私がもっともおすすめする職業のうちのひとつです.
生物統計学は,植物や昆虫に関する学問と思われがちですが,違います.
生物統計学の対象は,「人間」です.
しかも,医学研究における被験者と呼ばれる人が多いです.
生物統計家の需要は高まり続けており,慢性的な人で不足です.
大学病院や製薬企業では臨床試験を実施しており,これらを解析する人手が足りていません.
また,国家や公共団体からも研究機関に対して統計処理の仕事が流れています.
こちらも結構な規模で,全く仕事に困ることはないのです.
生物統計家のなり方
生物統計学を学ぶためには大学院に進学することをおすすめします.
現在高校生の人は,基本的に理系の学問を学んでおくと良いです.
数学科が比較的向いていますが,それ以外の工学系でも好きな学問を専攻してください.
高校生の場合は,今後様々な影響を受けて進路が変わっていく可能性が高いですから.
生物統計家になるためには,大学院の修士課程まで出ることをお勧めします.
主に医療系の臨床試験の分野で活躍する生物統計家を育成するコースができています.
ですが,まだまだ専門課程は少ないです.
ここではほとんど大学病院が併設されている大学をあげました.
なぜなら,大学病院を持っている大学の場合,大学内で就職が決まってしまうこともあります.
特に旧帝国大学などの,国からの予算が多く配分される大学が良いです.
大学の試験とは異なり実務経験や社会人経験も考慮してくれる大学院もあります.ですので,大学受験よりもかなり簡単に入れるとは思います.
ただし,多くの大学で英語試験にTOEICを導入していますので,やはりTOEIC600点程度あると安心できると思います.
TOEICは独学も可能ですが,自分でペースを作りにくい方や相当英語が苦手な人はスクールを利用してみるのも良いかと思います.
■TOEICの対策講座【無料体験を実施】
関西地方ですと,下記のような大学院があります.臨床統計に特化しているコースのため,かなり就職しやすいと思います.
◆京都大学 臨床統計家育成コース
http://www.cbc.med.kyoto-u.ac.jp/
東海地方
◆名古屋大学大学院医学系研究科生物統計学分野
http://nagoya-biostat.jp/
関東地方の方はやはり東大か慶応大学が良いかと思います.
◆東京大学生物統計学
http://www.epistat.m.u-tokyo.ac.jp/
◆慶応義塾大学公衆衛生学教室
https://www.keiopublichealth.jp/about/index.html
東北地方の方は下記のような大学もあります.
◆東北大学大学院医学統計学分野
http://www.biostat.med.tohoku.ac.jp/
北海道の方はこちらでしょうか.
◆北海道大学医学統計学教室
https://biostat-hokudai.jp/
生物統計家の就職先
例えば大学院で生物統計学を専攻したとして,どのような進路があるのかについて考えてみます.
組織としては,主に下記のような進路があります.
- 大学病院,大規模民間病院
- 製薬企業(CRO)
- 公共系の機関
- シンクタンク
- コンサルティング企業
- Web系の企業
まず,最も代表的な進路が大学病院や民間病院です.
病院では,医師をはじめとした研究者に対して統計解析のサポートをします.
研究自体は,医師などの研究者が自ら計画したものから製薬企業に依頼された治験なども担当します.
大学病院に勤務する場合は基本的に先生扱いですから,博士号もとっておくことをお勧めします.
やはり大学病院に勤務することをお勧めします.かなり自由度が高いですので.
次に,製薬企業で統計解析担当を担うケースです.
製薬企業の良い点は,給与が高いことです.給与のめやすは,大学病院の1.5倍程度と考えれば良いかと思います.
次に,公共系の機関ですが,これは限りなく少ないです.
ほぼ,独立行政法人のPMDAだけです.PMDAは,医薬品医療機器総合機構の略称です.
PMDAは,主に製薬企業や大学が治験を実施する際の治験薬や医療機器の承認や,監督などを担当している規制当局です.
まあいわゆる,公務員ですので,安定です.
現在は様々な専門家を募集していますが,「生物統計学」を専攻した人も募集しています.
関東に住んでいる方にとっては,有力な就職先候補かと思います.
シンクタンクも,かなり数は少ないですが,例えば三菱総合研究所などでは積極的に採用されています.
シンクタンクは基本的に国や地方自治体からの仕事も多く,純粋な生物統計学に関する仕事ができるとは限らない
ですが,知識を生かすことはできます.シンクタンクも,大学病院よりは給与は高めです.
コンサルティング企業では,多くのデータサイエンティストを募集しています.
ただし,コンサルティング企業では生物統計学以外にも少しプログラミング言語ができた方が有利です.
ですが,マーケティング系やインダストリー系のコンサルタントでは,生物統計学だけで問題ないかもしれません.
特に,インダストリー系のコンサルティングでは取引先が大学病院や製薬企業が多いです.
コンサルティング企業はたくさんありますが,インダストリー系に強いデロイトトーマツ,最大手のアクセンチュアなどが有名です.
Web系の自社開発系企業でも,マーケティング系や経営分析をはじめとして需要があります.
有名企業では,楽天,メルカリ,サイバーエージェントなどがあるかと思います.
生物統計家に求められるプラスアルファのスキルについて
今回紹介した生物統計を学んだ人の進路についてですが,シンクタンク,コンサルティング企業,Web系企業に関しては直接的に生物統計の専門知識を生かすことは難しいかもしれません.
それ以外にも求めらえるスキルが存在します.
代表的なスキルは,エンジニア系のプログラミングに関するスキルです.
特に取引先とコミュニケーションが必要になってくるケースでは,IT系の専門用語やシステムに関する知識が必須となるためです.
Web系の企業においても社内のエンジニアとの意思疎通などにIT知識は必要になってくるでしょう.
最近は優れたプログラミングスクールがたくさんできていますので,そちらを利用するのも効率的かもしれません。
特に学生さんなど時間に余裕のかる方は、プログラミングスキルを身に着けてから統計学の勉強をはじめる、あるいは同時並行もおすすめです。
無料体験を実施しているプログラミングスクールをまとめていますので,参考にしてください.
コメント