博士号を取るために、必要な能力についてまとめています。
博士号を完全に自分の力だけで取ることは非常に難しいです。
なぜなら、
-
研究とは何か?の理解
-
投稿論文の書き方
-
技術スキル
-
発想力(アイデア)
-
メンタルの強さ(粘り強さ)
博士号を得るためには、上記の5個の能力が必要だからです。
結論からいうと、特に上の2つが最重要です。
そして以外にも、博士課程入学時での「技術スキル」というのはあまり気にする必要がありません。
その理由について順に説明していきます。
まず、「研究とは何か?」という研究に対する理解です。
研究とはどういうものかが分かっていないと、自分が何をしているかわかりません。
また、教員から与えられるアドバイスの意味も理解できません。
実は、このような状況に陥っている人はかなり多いのです。
しかも、研究に対する理解がなければ投稿論文を書くことができません。
「自分の研究に対する理解」ではありません。
自分の研究内容を理解していることは当然のことですからね。
あくまで、一般論的な「研究に対する理解」です。
このように説明すると、簡単だと思う方もいるかもしれませんが、
研究に対する理解というのは、このブログで書けるほど浅い内容ではありませんし、一言でも言えません。
本来は、極めて優秀な学生を除いては、指導教員からみっちりと教えてもらう必要があります。
次に必要な能力は、「投稿論文の書き方」です。
当然ながら、いくつかの雑誌に論文を投稿し、アクセプトされないと博士号を得ることができません。
特に、英語論文を2報以上要求している大学院の場合はなおさらです。
(一方、紀要レベルでも博士が取れる研究室もあります)
さて、ここで勘が鋭い方は、気付いたかもしれませんが、もし指導教員と馬が合わなかったらどうなるでしょうか?
⇒結論:博士号が取れる確率は極めて少なくなるでしょう。
博士後期課程を脱落していく人が多い原因は、実はそこにあります。
次に必要な能力は、「技術スキル」です。
たとえば情報系の方でいうと、プログラミングスキルが相当し、
生物系の方であれば実験器具に関する知識、実験技術が相当します。
生物系の方は誰かに教わらないと厳しいかもしれませんが、情報系の方の場合は
プログラミングスキル程度だと自己努力でなんとかなります。
いわゆる、「お勉強」でカバーすることができます。
ほとんどの方が勘違いされているのですが、博士号取得のために技術スキルが一番大事だと思っている
方が多いのです。
例えば、「プログラミングスキルが低いけど自分はついていけるだろうか」等。
この点に関しては、心配しないでください。
ついていけるも何も、博士課程では誰も導いてくれません。
自分でやるしかないのです。
技術スキルは、個人の努力でいくらでも伸ばすことができます。
さて、なぜ技術スキルが必要なのかというと、「実験をするため」に必要です。
実験の数をこなさないと、新たな知見を得ることができないからです。
そして、次に「発想力」も必要です。
発想力というのは、ひらめきのように聞こえるかもしれません。
しかし実際の発想力というのは、最も研究者に必要な能力で、いわゆる「ひとつのことを考え続ける能力」です。
どのようにすれば研究課題を解決することができるのかを常に考えましょう。
この発想力に欠けている場合、いくら勉強ができたとしても研究には向いてないと思います。
そうでなくても勉強が得意な人ほどいろいろなことに取り組む傾向にあると思います。
このような人は、研究の世界で生きたとしても頭角を現す可能性が低いように感じます。
日本では、ノーベル賞受賞者が東大医学部の出身者ではないことに注目してください。
アインシュタインですら、一度は大学に落ちています!
さて本題に戻り、最後に必要な能力は、「メンタルの強さ」です。
なぜなら、基本的に研究ミーティング等で教員からボロクソに言われます。
少し怒られた程度でいちいち落ちこまないような、メンタルが必要です。
特に研究が思い通りいかない時には様々な言い訳が頭にうかびます。
「博士に優秀な人はいない」、「企業に行ったほうが給料が高い」、「自分には研究は向いていない」、
「私は研究ではなくて世の中に役立つ製品をつくりたいのだ」等、
自分にとって都合の良いいいわけが、次々とうかんでくる瞬間が必ず訪れます。
私の場合は、博士課程在学中に20回程度いいわけが思い浮かびました。
しかし、これらは自分から逃げているだけだということに気付き、はねのけてください。
これがメンタルの強さというものです。
世間的には、博士号を持っている人はプライドが高いと思われているふしがあります。
しかし、プライドが高すぎる人は博士号をとれません。
彼らは、一応苦労して博士号を取ったので「それにふさわしいような、見合うような仕事がしたい」と
思っているだけなのです・・・
これはプライドが高いというよりも、「苦労した分こだわりが強くなった」というふうに捉えてください。
自分の力だけで博士号は取れない
昔話なのですが、私が所属していた研究室には、周囲の教員から四面楚歌の状況に陥っている博士課程の学生がいました。
四面楚歌の理由は、先生たちの言うことをあまり聞かずにミーティングとかもよくすっぽかしていました。
おそらく沿いいう理由で教員との距離が遠くなっていったのだと思います。
しかし、その学生さんは、7年間博士後期の学生を続けましたが、結局博士をとることができませんでした。
その理由は、「研究とは何か?」と「投稿論文の書き方」に関する能力が欠けていたためです。
たったそれだけです。
たったそれだけ欠けるだけで、博士が取れないのです。
残念ですが、自分の力だけでは博士号が取れる人は極めて稀です。
やはり、教員に見捨てられると非常に厳しいです。
特に先に述べた2つの能力というのは、自分の力で身につけることが難しいのです。
最もよくありがちな勘違いは、「研究内容がすばらしければ論文は通る」という考えです。
残念ですが、いくら研究内容がすばらしくても投稿論文にアクセプトされるとは限りません。
査読者に読んで理解してもらえるような書き方を習得する必要があるのです。
特に、博士課程ともなると大学教員も人間なので、すべての学生に平等に接してくれるわけではありません。
「お金を払っているから面倒をみてもらって当然だ」という考え方も少し違います。
ほとんど社会人と同じ扱いなのです。
ですので、大学教員とは、ある程度仲良くやる必要があるのです。
しかし研究の世界というのは、自分に腕さえあれば生きていくことができます。
(全然腕がなくてもコネや学歴である程度生きながらえることも・・)
今回述べたことに注意して博士課程を修了されることを願っています!
コメント