大学教員の給料教えます【国立大学の場合】

大学教員の給料について説明します.

世の中では特にポスドクを取りあげて,薄給だと揶揄するきらいがあります.

実は一般世間で言われているうわさレベルの収入と実際のそれとは結構差があります.

私は現在,国立大の教員(任期付き)をしています.

私は大学教員に加えて,一般企業での勤務経験もありますので,適宜比較をしていきます.

はじめに,一般的な職階について説明しておきます.

目次

大学教員のキャリアと年収

大学教員の典型的なキャリアは,下記のようになります.

・ポスドク(博士研究員)

・助教

・講師

・准教授

・教授

ポスドクは,博士号を取得した直後に就くポストです.

大学により特任研究員,博士研究員など独自の呼び方をしている場合もあります.

国立大学のポスドクの給料は一般的に,350万円から550万円程度です.

かなり幅がありますが,月給30万円前後が最低基準だと思います.

一般的に文系のポスドクの方が給与水準が低い傾向にあり,生物系,情報系,医学系という順で高くなります.

医学系をはじめとした潤沢な研究費が得られる環境であれば500万円程度の収入を得ているケースもあります.

平均すると,大企業の初任給よりは少し高い程度の給料は十分あります.

ちなみに,年収500万という給与水準は私が大手電機メーカーで入社5年後程度の給料水準です.

ポスドクを何年で抜けることができるかですが,平均すると3年程度と考えてください.

専攻分野の需要が高い場合や運に恵まれた場合,博士号を取得した直後に,ポスドクの次のポジションである助教になれるケースもあります.

助教の年収は,550万円から750万円程度です.

こちらもかなり幅がありますが,博士号取得後にすぐに助教になった場合は,600万円弱が多いです.

一方で,ある程度年齢が高かったり,ポスドクなどの経験がある人の場合は700万円前後になるケースが多いです.

ちなみにこの水準は大手電機メーカーの係長級の給与と思っていただいて結構です.

ここでみなさんお気付きだと思いますが,博士号取得後に任期なしの助教になれた場合,相当なエリートコースだと言えます.

例えば,博士号を取得した28前後で600万円弱の収入があるわけですから,一般企業よりかなり高い水準なのです.

しかしこのルートに乗れる人はかなり稀です.

大方の人は,博士号を取得した直後はポスドクか,あるいは任期付きの助教のポジションを得ます.

助教の次は,講師です.しかし,実は大学によっては講師というポジションは設置していないケースがあります.

私もデータをもっていないため,今回は講師は飛ばして准教授についてお話します.

准教授の年収は,750万円から900万円前後です.

こちらも結構幅がありますが,平均して年収800万円前後はもらえるかと思います.

准教授のまま教員生活を終えたとしても,最終的には1000万円弱の年収は手に入ります.

ちなみにこの水準は大手電機メーカーの課長級の給与と思っていただいて結構です.

少し話がそれますが,私が所属していた電機メーカーでは,課長まで出世できる人は限られていました.

例えば世間で一流とされる東大京大早慶を出たとしても,必ずなれるとは限らない状況です.

そう考えると,学者の世界は准教授で終わったとしても,十分元を取れると考えるのは私だけでしょうか?

最後に,学者の「あがり」とされる教授の給料です.

大学教授はだいたい年収950万円から1500万円前後です.

教授の年収も結構幅があります.

1500万円前後もらえる人は結構稀ですが,医学系の研究科であれば結構存在します.

一方で,比較的若い年齢(例えば40歳前後)で教授になった人は1000万円前後のスタートとなるでしょう.

特任のポジションについて

正規の教員ポスト以外に,特任助教,特任准教授,特任教授というポジションがあります.

一般的にこれらの職種は,基本的に「特任研究員」です.

この研究員というベースに対して,それぞれ助教,准教授,教授などの「称号」が付与された形です.

これは正規のポストではないですが,例えば特任助教であれば助教クラスであるとされています.

さて,肝心の年収に関して説明します.

例えば特任助教の場合,助教と同程度か少し多めであることが多いです.

というのも,特任教員は退職金がもらえないため,その分少し多めに積まれていることが一般的だからです.

その他准教授,教授に関しても同じです.

ここが一般世間の方が勘違いしがちなポイントで,特任教員は正規教員よりも「格下」だから年収も低いに決まっているという思い込みですね.

私立大学の給料について

私立大学の年収は大学により様々ですが,一般的に国公立の大学よりも高いケースが多いようです.

ただし,経営状況が厳しい大学では逆に国公立よりも安いと思います.

私立大学の教員を目指している方は,できるだけ有名な大学に就職することをおすすめします.

さて,ここまで説明してきましたが,結構大学教員の給料って高いとおもいませんか?

世間のうわさレベルの知識で勝手に決めつけるのは止めた方が良いです.

最後に宣伝です.

大学教員を目指す方はできる限り英語力を上げておく必要があります. よかったらこちらをどうぞ.

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この記事を書いた人

某メーカーで数年間エンジニアとして勤務していました.研究,開発,品質管理とたらい回しの刑を満了し,現在はパッケージソフトウェア開発者として個人で活動しています.

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