研究者に向いていない人の特徴

今回は,研究者に向いていない人についてお話してみたいと思います。

私自身,現在アラフォーですが,少し前まで博士課程に在籍していました。

また一般企業の経験もありますので,わりと客観的な意見を言えると思います.

目次

研究者に向いていない人の特徴

✔ 研究と勉強を同じだと思っている人

✔ 研究者という肩書だけを求めている人

✔ 最先端の技術を身に着けたいと思っている人

まずひとつめは,高校生や大学生,一度も研究をしたことがない人に多いです.

研究経験がないのである意味仕方ないのですが,

「勉強が好き」と「研究が好き」ということは完全に別です.

勉強が好きな人は,いつまでも勉強しているので,「なかなか研究しようとしない」場合があります.

これは,研究よりも勉強のほうが楽しいためです.

研究というのは自ら何かを考え出し,試行錯誤することです.

なので,本を読んで学ぶ作業とは異なります.

そういう意味で,学校秀才の人が優秀な研究者になるとは限りません.

学校秀才の人は「世間に従順に対応してきた」という人が多いと思います.

親や世間の言いつけを守って,毎日勉強してきたのだと思います.

結果,社会に対して何か言いたいことや明らかにしたいこと自体あまり持ってないことも多いです.

私が博士課程に在籍している感覚からすると,「分析はするけど挑戦しない人」が多いです.

分析力に優れており情報処理能力が高いのですが,「評論家」として機能することに終始していて,自身は挑戦しないので学歴に見合った成果は得ることができないという感じです.

良くも悪くも「教科書通り」の人という印象があります.

こういう人は、舗装された道をひたすら進めばよい課題にめっぽう強いです。

例えば、TOEICとか資格とか、勉強方法が決まっており、かつ社会的にも評価さされることが確定している試験等です。

次に,研究者は肩書だけだと思っている人や,「名刺に博士と刻みたい」と思っている人にも向きません.

向きませんというか,途中で脱落する可能性が高いです.

名刺に,「博士」とか「教授」という肩書を刻みたいという欲求だけでは,費用対効果が低いです.

博士課程に進学すると「結構ひどいめ」に合うので,メンタルが弱いとすぐに脱落してしまいます.

もちろん,それを上回る根性とか虚栄心の持ち主なら耐えられるかもしれないですが・・・

そういう考え方は,私は否定しません.むしろすごいとおもいます.

ただし,そのような方は課程博士よりも論文博士のほうが向いています

大学にもよりますが,一般的に論文博士は論文が2報程度あり,研究員などの業務経験があればもらうことができるためです.

特に医学研究科の論文博士は簡単医とれる場合が多いです.

最後に,最先端の技術を習得したい人もあまり研究者には向きません.

また,最先端の技術を駆使して働きたいと思っている人ですね.

さらにいうと,「最先端の技術に取り組んでいる自分」に酔っている人です.

研究というのは,かならずしも最先端の技術は使わないかもしれないですし,教えてくれる人もいません.

研究課題によっては「枯れた技術」を使う場合もあります.

最先端の技術を追求したい場合は,「最先端のベンチャー企業」が適しています.

あるいは外資系の情報系企業(Google, Microsoft)などです.

このようなタイプの方は,そういった企業を目指した方が良いと思います.

研究室の選び方

今後,研究を開始される学生さんに少しアドバイスしておきます.

あくまで情報系の研究に限った話ですが,最先端の研究をしている研究室に入ったからといって自分が最先端の結果を残せるとは限りません.

そのような研究室はすでにノウハウが蓄積されており,スタープレイヤーが確定している場合が多いです.

結果的にスター達の手伝いをさせられて終わりという場合もあります.
(このような例は、特に生物系・実験系の研究室に多いようです)

「寄らば大樹」という人には良いですが自分の個性を出した研究をしたいといった場合には向いていません.

ここから少し私の体験を例にして雑談をしたいと思います.

私が在籍していた研究室は,教員のみなさんは基本的にほとんど誰も指導しません.

研究ミーティングでは学生に対して「あれがだめ」「これがだめ」と言われますが,教員達から明確な方向性とかは示されません.

だからといって,まわりから批判されて簡単に引き下がるようでは研究者として「向いていない」です.

周りの人たちは,野球で例えると「観客」だと思ってください.

これがコツです.

「観客」はプロ野球選手に好きなことを言います.やじをとばします.

確かに,彼らはたまに正論を言います.でも,球場でプレイすることはできません.

なぜなら,観客のおっさん,じいさんは野球の実力がないためです.

例えば,巨人軍の坂本選手に「もっと左足を踏み込んだら外角も打てる!」というおっさんがよくいます.

坂本選手は天才的な内角打ちの技術を持っており,それと比較すると外角の球には弱いように一見すると見えます.

ですが,一般的なプロ野球選手と比較すると充分に外角打ちもうまいのです.

それに,坂本選手自身そんなこと当たり前のように自覚していますよね.

このような正論は,誰でも言えます.そうです。

実は,「正論なんて子供でも言える」のです.

正論を実行し続けることが難しいのです。

野次をとばすおっさんは,会社にもどると「取締役」で社員にちやほやされる存在かもしれません.

彼らは野球とは別の社会では評価されている存在であることも多い.

でも野球の世界とはだいぶ違いますよね?

だから,放っておくのが一番です

でもたまに観客も良いことをいう場合もあるので,それは取り入れてください.

だから,周りからだめな方法だと言われても,

本当にだめなのか?

ということを自分の頭で突き詰めて考え,良ければ意見を押し通し続けるといったスタンスをつらぬくのが賢明です.

逆に言うと,こういう研究室の方が自分の個性を重視した研究ができます.

ただし,あまり指導されないのがストレスになる人には向かないですね.

「ほめてほしい」という承認欲求を持っている学生は辞めていきます.

なぜなら、逆に「けなされる」からです。

そういう意味で,メンタルの強さというのも結構大事なのです.

今のところ,私が所属している研究室は情報系ですが,博士後期課程に入学してきた人の半分程度が博士号を取得できていません。

とはいえ,みんな博士号が取れる自信を持って入学してきた人ばかりなので,その中で半分程度脱落するということは,結構ハードルが高いように思います.

なので,研究室を選ぶ際には「自分の性格」と「やりたい研究の方向性」を考える必要があります.

この記事で述べたように,現在の学力レベルと研究の力はあまり相関がありません.

特別な学校秀才ではなくても,研究者としての才能があれば大丈夫だということです.学力レベルに自身がない人でも十分研究者にはなれますし、食べていくことは可能です。

最後に、研究者を目指している方に最もおすすめする本を紹介します。

私が尊敬するゲームプログラマーの梅原大吾さんという方が書いた本です。

この本を読むと、ゲームというのは極めようとすれば、まさに研究と同じなのだなと感じました。

ゲームというのは才能や運ではなく、ひたすら研究して努力することでうまくなるのです。

このように、あらゆる分野で応用できる努力する方法について書かれており、その分析力はすさまじいです。

私もこの本に出会ってから自分の研究に自信がもてるようになり、努力の方向性が分かりました。

この本のおかげで、研究者にそれほど向いていない私でも博士号の取得にかなり近づきました。

結構安価に購入できるので、みなさんも読んでみることをおすすめします。

これで人生が変わる人も出てくるのではないかと思います。

また、下記に研究者に向いている人の特徴も書いています.参考にしてください.

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この記事を書いた人

某メーカーで数年間エンジニアとして勤務していました.研究,開発,品質管理とたらい回しの刑を満了し,現在はパッケージソフトウェア開発者として個人で活動しています.

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